3年ほど付き合っていた彼女と結婚となり、どうしても結婚式は避けて通れない行事でした。
もちろん私も結婚式を挙げたいという気はありましたが派手な結婚式は難しい財政状況でした。
彼女も私のお財布事情を知っていたので小さな結婚式でいいのでやりたいと言ってくれました。
親には結婚するということだけ伝えていましたが結婚式をするという話は特にしてませんでした。
別にいちいち報告することもないし、招待状を出すまでは黙っていてもいいかなと考えていたのです。
結婚式の費用を負担したいと両家から申し出が、、、
しかし話が進むにつれて現実的な値段が出てきました。
正直100万円出すのも厳しいくらいだったので、やはり小さな結婚式でもこれくらいかかるのかと肩を落としていました。
次に式場へ打ち合わせした時に仮決定しようかと思っていたそんな時、実家に帰ると父が突然「結婚式はやるのか?」という話をしてきました。
両親は厳格な方なので順序や儀式を気にするタイプだったので結婚式をしないという選択肢がないようでした。
私はお金のことを頼むのが男として恥ずかしかったので特にお金の話をすることもなく「式を挙げる」ということだけを伝えたのです。
しかしそれを聞いた父は「結婚式は自分が出すから金額をあらかじめ教えてほしい」と言ってきたのです。
私は正直驚きました。
私の家は決して裕福というわけではなく、幼少期はかなり苦労した経験があったからです。
私の知らない間に結婚式費用を貯めていたのです。私の性格を把握している父はきっと私が一人でなんとかしようと考えていると思っていたのかもしれません。
父としては親戚や友達さらには会社の人まで呼んで大きな式にしたいと考えていたのです。
結婚式といえば人生に一度しかないものなので盛大にやるべきだという主張でした。
父は少し年を取ってから私を生んだので、やはり考え方が一昔前といったようでした。
正直私はそのお金を受け取りたくはありませんでした。
もちろんあった方が借金をしなくて済むので助かりますが、もう自立した大人だという自覚があったので親からせびるのはいかがなものかと考えたからでした。
父は私が援助を受けないという選択肢がないようでした。
やんわりと「自分で払う」ということを伝えても聞く耳持たずといった様子でした。
なのでその日は話をしても仕方ないと考え、結婚式の援助はなんとなく話をはぐらかして帰りました。
しかしその後、私の両親を含めた食事会で彼女の両親からも「結婚式の資金を援助したい」という申し出がありました。
彼女の家は二人姉妹なのですが、まだ誰も結婚していませんでした。なので初めて嫁に出すのでぜひ資金を援助したいとのことでした。
実は彼女の方は両親から支援を受けてもいいのではないかという考えだったので、もしかしたら彼女がこっそり頼んだのかなとも思います。
彼女の家は一般的な家庭なので結婚式の援助となれば大変だろうにそんなことはみじんも感じさせない振る舞いでした。
そんな姿がどこか私の父と重なって見えました。
これが親というものかもしれないと、まだ親になっていない私はなんとなく思いました。
とはいえ流石に彼女の両親にお金を出してもらうわけにはいかないので、私は父からの援助を受けることにしました。
これ以上自分で払うと主張しているとどちらからも援助を受けてしまいそうな雰囲気だったので、自分の親に頼ることにしたのです。
お互いの両親はそれで納得したようでしたが、彼女の両親は「お金が足りなかったらいつでも言ってね」と私にそっと言ってくれました。
私の両親の顔も潰さないでいてくれる彼女の両親には頭があがりません。
やはり彼女の性格の良さはこの両親から引き継がれているのだなと思いました。
私は自分の両親のいないところで、「もし何か足りなかったら援助をお願いします」と伝えました。
もちろんそのつもりはありませんでしたが、彼女の両親も「任せてほしい」と言ってくれました。
私はこんなに恵まれた環境にいるのだなと感動しました。
結婚式の費用がないことで我慢させていたことがわかり、、、
両親がお金を全額出してくれると決定してからというもの式に色々と口を出すようになりました。
とはいえ基本的には私たちのやりたいようにやればいいというスタンスですが、料理や引き出物のグレードは上げてほしいということでした。
確かに当初の予定では一番グレードの低いタイプを選んでいたのでそこが不満だったようです。
親としても長男の結婚式なので見栄え良くやりたかったのかなとも思います。
とにかく親の援助もあり、当初の予定より立派な式にすることができました。
友人からも「いい式だったね」と後から言ってもらえて嬉しかったです。
後から聞いたのですが、彼女も多少遠慮していた部分があったようでした。
それなのでブーケも二種類持たせることができましたし、衣装チェンジもさせてあげることができました。
それがとても嬉しかったとキラキラとした顔で言われ我に返りました。
もし見栄を張って自分たちだけで結婚式を挙げていたら、もっと寂しい結婚式になっていたかもしれません。
彼女もここまで嬉しい気持ちにはならなかったと思います。そう思うと両親に援助してもらって正解だったなと思いました。
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結婚式の費用を返済しようとするも、、、
とはいえ援助してもらうだけでは格好がつかないので少しずつ返すことを提案しましたが、父は一切受け取ってくれませんでした。
もう一家の大黒柱なのだから無駄なお金を払うなということでした。
少し頑固なところもある父なので何回か申し出たのですが一切お金は受け取ってくれませんでした。
それなのでお金で返すということを諦めました。こちらとしても出してもらってありがたいと思う気持ちもありますし、何年かかけないと全額返し切れないというのも本音です。
今はお金を返そうというよりも恩返しをしようという気持ちの方が強いです。
少し情けないような気がしますが、ここまで頑なに断った両親の気持ちを踏みにじることはできないと思ったからです。
彼女は今年妊娠してくれたので、初孫を両親に見せることが恩返しになるのではないかと思っています。
あのとき援助してくれた両親には感謝の気持ちでいっぱいです。
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